Scenery of Water

Scenery of Water

ベトナム、ミャンマー、日本でのフィールド・レコーディング。

私たちは水そのものの音を聞くことはできない。私たちが聴くことができるのは、水が何かに与える影響だけだ。浅瀬のせせらぎの音をしばらく聞いていると、ふと自分が水の中に入って、水の中から音を聞いているような気がしてくる。静かな状況で水滴の音を聴いていると、その音はリズミカルなパターンで発生し、背景へと消えていく。水の音は、物理的な接触面、部屋の残響、空間の大きさなどによって、ランダムなリズム、繊細なメロディー、微細な倍音を奏でる。言い換えれば、水の音は空間の特徴を反映する。そして、音を通して空間が浮かび上がってくる。その意味で、私たちは風景の中に水を聴くというより、水を通して風景を聴いているのかもしれない。