Hodokeru Mimi

Hodokeru Mimi

12月の寒い日は大気を凍らせ、永遠のものとする。鳥が通り過ぎる。工事現場。四条の音が坐禅を開く。謙虚な仕草と木のビー玉。廊下を横切るステップ。床のきしみが観客の息をのむ静寂を破る。カエデの枝の間を空気が流れる。カエル、水、森が自然のはかない美しさを思い起こさせる。オルガンの機械的な不完全さと共鳴するガラス管が響き、空間を温める。生々しい音色、遠くの空間、音の分子が織り成すミニマルな、分断された、静かに進化するテクスチャー。知覚が変わる。秋のディスプレイが通り過ぎる。苔、石。乾いた庭。シェルター。5人のアーティストが、深紅の赤と淡い褐色の色合いの環境の中をゆっくりと丁寧に伸びていく、緻密でありながらミニマルなサウンドで、時間と内省を呼び起こす。トランジション。暗い街路の電飾が祇園の静寂を照らす。絡まった糸がほぐれ、ほどけるような開放的な体験は可能だろうか。北半球が秋から冬へと静かに下降を始める中、私たちを取り巻く過飽和の世界の中で、少しでも息抜きになるような音をお届けします。ほどく耳、ほぐす耳。

このアルバムは、2017年12月9日に京都の両足院で開催された、大田高充とsukima industriesの浅利大生によるコンサート「ほどける耳」の記録である。
(レーベルHPより引用、翻訳)