水中の世界にも音は存在するどころか、ちょっと調べてみたらすごいことになっているようだ。水中で音を使ってコミュニケーションしているのはイルカ位かと思っていたが、魚も音でコミュニケーションをとっているらしい。それも状況に応じて音を使い分けているというから驚きだ。例えば縄張りに入ってきた魚を威嚇する音、求愛するときに出す音、食事中の音、泳いでいる時の音、さらには歌も歌ったりするらしい。イルカや鯨の場合、まわりの状況を探知するソナーとして出すクリック音、会話に使うホイッスル音の2種類に分けられるという。水中は陸上よりも音の伝わる速度が早く、伝わる距離も長いのでなんと地球の裏側で鳴った音が聞こえたりもするようだ。
魚は音や匂いにとても敏感である。ラオスだったかで魚を音でおびき寄せる漁法があるとか聞いたような気がする。釣りの上手な人は案外そういう所に気をつけているのかもしれない。また海中だけでなく、川、港、水路、池、霜、雪などいろいろな水場で音を録ってみるのも面白そうだ。
目次
参考資料
水中マイク(ハイドロフォン)
ピエゾマイクなので当然ながら空気の振動(音)は録音できない(はず)。
面白いのは比較的安価なマイクも周波数帯域が100kHz(中には250kHz)近くまで伸びていることだ。
やはり水中は人間の可聴域をはるかに超えた音であふれているようだ。ハイドロフォン(メーカー)を値段の安い順(多分)に並べてみた。
DolphinEAR
最も安価な部類だが、使用者によればシールドに問題があり短波ラジオなどが混入するとの情報も。
Aquarian Audio
比較的安価だが評価は悪くない。色々なモデルがある。
Reson
元B&K (DPA) の技術者がいる会社らしい。値段は記載されていないがDPAよりは安いようだ。
Cetacean Research Technology
C54XRなど。DPAと並んで評価が高い
DPA 8011
最高峰の水中マイク、既に生産完了とのこと。F特の表記は100Hz~20kHzだが、少なくとも80kHz位までは録音できるらしい。
注)安いhydrophone(ハイドロフォン)はローエンドがすかすかなようだ。ローエンドまできっちり録るにはそれなりの値段のものを選んだ方がいいかもしれない。DPA以外日本に代理店がなさそうなので、購入するには直接問い合わせて送ってもらうしかないだろう。またSANKENからMO-9Eという氷中マイクが出ているようだが、一般に市販されているかは不明。音響分析だけならモノラルで十分だろうが、2本使ってステレオで録るのも面白いかもしれない。あるいは空気中の音と水中の音をステレオで同時に録るなど。
追記)Aquarian Audio H2aを5年ほど使用していますが、頑丈な作り、音質とも満足しています。コネクターの種類とケーブルの長さはカスタムで選択できます。私は3mのものを使っていますが、長さは最大15mまで選択できるようなので(カスタムでそれ以上も可能?)、足場の悪い場所や海中の録音などでは長い方がいいと思います。またサウンドアーティストのJezさんが製作・販売している水中マイクは低価格ですが、アップされている音源を聴く限り、音質はAquarian Audioと同等以上のようです。
その他
川の聴診器
AT880
(オーディオテクニカから水中マイクが出ているのを見つけたが、生産完了のようだ。)
水中マイクの自作方法がのっているWebサイトは結構ある。ただしほとんど海外。
写真入門風のイルカ・クジラ鳴音録音テクニック
固体の振動を録る
コンタクトマイク(ピエゾマイク)を使って、空気の振動(音)ではなく、物体の振動を録る。サウンドアーティストと呼ばれる人はしばしばコンタクトマイク(自作のことが多い)を録音や作品のインスタレーションに用いている。 聴診器、コンクリートマイク、ピエゾピックアップなどもコンタクトマイクの一種である。角田俊也氏はフィールドレコーディングの分野では世界的に有名で、コンタクトマイクを使った作品(録音)も数多く発表している。以下のサイトにインタビューが載っているが、とても興味深い内容である。
http://www.inpartmaint.com/pdis/feature/tsunoda.html
日本を代表するマイクロフォンメーカーのSANKENとNHK技術研究所の共同開発により、カタツムリの心臓の音やアリの足音、樹木が水を吸い上げる音といった人間の耳には聴こえないほど微細な音を録音することができる超高感度コンタクトマイクが誕生した。MO-64が据え置き型、MO-64Bが棒状型。実際に外で使うならMO-64Bの方がよさそう。(2010年に生産完了のもよう)
2012年4月現在、比較的容易に入手可能で音質が良いものとして、Jezさんのコンタクトマイクがある。あのChris Watsonも録音に使用しているようである。