(音量の)小さな音を録る時、録音レベルをどうするか。録音のセオリーからいえば歪まないぎりぎりの音で録るのが良いはずだ。その方がダイナミックレンジが稼げ、ノイズも少なくなる。しかし実際の耳にも小さな音で聴こえている音をわざわざ拡大して録る必要があるだろうか。小さな音は小さな音量のまま録音し、小さいままの音量で聴くのもよいのではないか。
たまに録音レベルを間違えかなり低いレベルで録ってしまった音源が妙に心地よく聴こえることがある。音量を上げても背景のノイズがうるさいだけで全然心地よくなかったりする。実際の生活で耳に心地よいと感る音は大抵小さな音であることが多い。あるいは遠くから聞こえるかすかな音。それらの音を録音することはなかなか難しい。正確に言えば録音した音を聴いてもなかなか心地よい音に感じれない。実際に耳に聞こえる音とはどこか異なる。
小さな音といっても相対的なものでしかないわけで、やっぱり世の中には大きな音がとても多いから、小さな音が心地よく聴こえるのだろう。市販のCD(POPS等)は大きな音と小さな音の差を圧縮し、音圧が上げられている。その方が迫力がでるからだ。でも長時間聴くと圧迫感を感じ疲れる音でもある。自然音とかアコースティック楽器音の場合小さな音は小さな音のまま聴きたい。でも小さな音を聴くためには音量を上げる必要があり、そうするとどうしても背景のノイズがうるさくなる。
最近不思議に思ったのは、実際の耳に小音量で聴こえた音源を録音するとき、録音レベルを低く(実際の耳で聴こえるのと同程度に)録った音源をそのまま聴くのと、録音レベルを上げて(実際の耳に聴こえる音より拡大して)録った音源をボリュームを絞って聴くのでは、同じ音量でも印象が違うということだ。一般的には後者の方が良い録音のはずなんだけど、自分には前者の方が良く聴こえることが多い。この差は何なのだろうか。